本日の試写

tofu22004-08-06


■『ユートピア』Utopia
2003年/スペイン・フランス/101分/マリア・リポル監督


まずは、チョッキー・カリョが本当にセクシーだなと。この人、語学が堪能なのか、フランス語はもちろん、『コア』出演時では英語だったし(フランス語なまりの英語がこれまたセクシー)、今回は流暢なスペイン語で演技していた。彼こそまさにセクシーアグリーな男ですね(『kissing ジェシカ』以降定着したと思われる魅力的な男性のタイプの名称)。

53年10月4日、トルコのイスタンブール生まれで、『ニキータ』で注目されて以後アメリカ映画もバンバン出演してるみたい。ベッソンだろうとヤン・クーネンだろうと、彼の存在感は監督の力量を越えてるね。で、この作品での彼も、もちろん存在感ありあり。主役を食っちゃうってやつ。


映画は、映像が素晴らしいラブ・サスペンス。撮影監督はダビッド・カレテロって人。監督は女性なんだけど、ペドロ・アルモドバルアレハンドロ・アメナーバルに続くスペイン映画界の新たな才能と期待されている監督とのこと。女性ならではのサスペンスっぷりが今後期待できるかも。
内容はラブ・サスペンスってことで、事件があって恋が生まれるんだけど、事件の発端がシエスタの国、スペインらしいというか、根拠が曖昧ちゅうか…。未来や過去が見えちゃう人たちの集団と、南米にある狂信的なカルト集団が、普通の人たちの生活の中に割り込むっちゅうか…。全編通してミステリアスかつ流麗で美しい映像なので、最後までうっとりして観れたけど、誘拐や殺人の理由があまりにもカルト的(自然を壊すのはダメだから、ダムの設計者を殺害とか)、命を掛けて救い出すのが彼女だけなのはなぜなのかとか、理由が曖昧で理解できないから感情移入する部分が見つからなかった。シエスタの国だからそんな感じでいいのか?幻想と現実を行き来する映像は本当に素晴らしかったけど。
曖昧で理不尽な未来を見てしまう予知夢に悩む男にとって、その曖昧さは「悪夢は悪夢で終わらせてはならない」「自分の力で未来は変えられる」ことを、自ら学ぶ過程なんだろうし、それが大人になることへのメタファーだってことも、まあなんとなく分かるけど。そもそもサスペンス自体が好みじゃないので、この程度しか理解できなかっただけのことかも。でも、とにかく映像は素晴らしかった。