日仏にて『不実な女』鑑賞。

tofu22004-07-04


1969年・フランス・クロード・シャブロル監督作品。02年のエイドリアン・ライン監督による『運命の女』は、この作品のリメイク。


■ストーリー
パリ郊外に住む夫婦。目に入れても痛くないほどにかわいい一人息子と3人で、何不自由のない生活を送っている。しかし美しい妻は、パリで浮気をしているようだ。それに気付いた夫は、探偵を雇い妻の浮気相手を捜し出す。自称作家を名乗るその男に、紳士的に近づき友人として部屋に入れてもらった夫は、穏やかさを装っていた感情の中にある嫉妬心が吹き出し、その男を殺してしまう。


動揺しながらも冷静に、床に広がる男の血をシーツで拭き取り、毛布で包んだ男の死体を車のトランクに入れて森の中へ。途中、追突される事故に巻き込まれるが、なんとか森の中にある沼に、男の死体を投げ込み証拠隠滅作業をする。


数日後、行方不明の男の捜査をしているという二人の刑事が家にやって来る。男の住所録に妻の名前があったからだ。仕事絡みのパーティで会った記憶があるが、それだけだと妻は言う。夫もその件については、何も言わない。


ある日、妻は夫の背広から、殺された男の写真を見つける。すぐにその写真を燃やす妻。刑事がまたやって来た。夫を見つめる妻。「君を心から愛している」。夫はそう言いながら、刑事の方に歩いていく。妻は、全てを理解し、この事件には我ら夫婦は全く関わっていないことを主張することを決意する。



■感想
『運命の女』と全く同じでビックリしたけど、こっちがオリジナルなのね。『不実な女』はサスペンスに徹した映画だけど、『運命の女』は、良くも悪くもハリウッド映画。


『運命の女』では、妻はダイアン・レイン、夫はリチャード・ギア。世界で一番セクシーなリチャード・ギアを押しのけて浮気に走らせる男は、世界で一番セクシーな女、カイリー・ミノーグと婚約までしたことのある、若くてセクシーなフランス男、オリヴィエ・マルティネス。さらに『ナイン・ハーフ』の監督、と言われてしまうエイドリアン・ライン監督らしい濃厚なセックスシーン満載な映画になっていて、さすがはハリウッド〜的に、華やかにリメイクされている。嫉妬心から殺意が起こるシャブロルらしさもあったし、おもしろかった。


『不実な女』は、サスペンス好きのシャブロルが、ヒッチコックへのオマージュを捧げているだろうなと思うシーンがたくさんあって、フランス〜な感じ。シャブロル監督の映画は、必ず人が死んだり不幸になったりして終わるんだけど、その終わり方が独得。基本には嫉妬による殺意なんだけど、「あ、殺しちゃった」って感じがある。


または、集団行動により思わぬ不幸に落とされる。日常の中にふとしたことで殺意が起こるから、余計に怖いのよ。唐突な感じが興味をそそるんだと思う。シャブロル作品で観たものを備忘録的にピックアップしてみると、やっぱり必ず誰かが死んでるんだよね。。。



■観たシャブロル監督作品
『ココアをありがとう/merci pour le chocolat(00)』
『主婦マリーがしたこと/une affaire de femmes (88)』
『不実な女/la femm infidele(69)』
『気のいい女たち/les bonnes femmes(60)』
『いとこ同士/les cousins(59)』
『美しきセルジュ/le beau serge(57)』