いいヤツ、悪いヤツ、醜いヤツ

tofu22004-11-02


モントリオール*1で観た『The good, the bad and the ugly*2』が、あまりにも面白かったので、日本に帰ってからちゃんとビデオで観ようと思っていて、そして観た。まずタイトルがいい。「いいヤツ、悪いヤツ、醜いヤツ」。って子供じゃあるまいし…。いや、素敵です。で、モントリオールで観た時の状態っていうのが、夜中の広場に大勢で集まって、秋風なんかに当たりながらの大スクリーンで、日本語字幕なし、という状態。だからほとんど祭りの一環って感じで、雰囲気が良くて(文下写真)、上映中は大笑いしたり大拍手したり大盛り上がり。もちろん映画の内容もめっちゃくちゃおもしろくて、超娯楽作品を楽しんだ!って感じを久しぶりに味わった感じだった。

映画の内容は、アメリカの南北戦争時代に、賞金稼ぎの「悪いヤツ」と「いいヤツ」と「醜いヤツ」がいて、騙し合いながら、決闘したり、なんだり…。まあ、とにかく、いきなり意味不明な超度アップと遠近法の概念を覆すアングルの数々にヤラれましたよ。そして、エンニオ・モリコーネが奏でる驚異的に意表を突く音色とメロディ*3が魔術的なタイミングで映像と合致しちゃうのには驚きましたよ。さらに、自然の流れに逆行しそこねて正調に戻ったような奇妙なリズムで、映画全体をひとつのジャンルとしちゃう無理矢理なまでの力技に驚愕でしたよ。なんかね、この映画を大スクリーンで初体験できたことを感謝したですよ。もう、こういう映画が、娯楽っていうんだよなあ、と感動したもんです。


それで、帰国後、日本語タイトルが『続・夕陽のガンマン』っていうことが分かって、「続」ってことは第一作もあるのだろうと調べたら、なんだか、複雑なことになっていたので、覚え書きとしてメモっとく。


まずクリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』ってのがあって、その続編が『夕陽のガンマン』で、その3作目として『続・夕陽のガンマン』がある。この3作は、クリント・イーストウッドが「名無し」というキャラクターを演じる映画の3部作。英語タイトルはそれぞれ『A fistful of dollars』『For a few dollers more』『The good, the bad and the ugly』。3部作のタイトルを並べるとおもしろい。「手のひら一杯のドル」を稼ぐガンマンだったけど、ちょっと欲が出て「もうちょっとのドルのため」の賞金稼ぎになって、いっそのこと「いいヤツ、悪いヤツ、醜いヤツ」で片づけちゃおうっかなあ、とか安易な感じがおもしろい。


で、ここからが複雑っていうか、日本語タイトルの妙なんだけど、3部作の第一作である『荒野の用心棒』のヒットにあやかって、日本だけの独自タイトルを付けちゃった全く別の映画がある。その日本語タイトルは『続・荒野の用心棒』。『荒野の用心棒』とは全く別の映画。英語タイトルは『DJANGO』。


棺桶を引っ張りながらさすらってる「ジャンゴ」っていうキャラクターが、ボロボロになりながら決闘したり、なんだりする映画。ジャンゴ〜って叫ぶ音楽(ルイス・エンリケス・バカロフ作曲)がイカしてる、クリント・イーストウッドとは全く別の映画。実はこっちの映画の方が、インパクトは強烈。棺桶を引きづってさすらっているガンマンだし。「django」は主演者を替えてシリーズ化されて何作かあるみたい。


こういう感じだったりするから、今まで観る機会を逃してたわけで。でも、分かってきたらおもしろくなってきた。



『荒野の用心棒』

64年A Fistful of Dollars
監督:セルジオ・レオーネ/出演:クリント・イーストウッド

『続・夕陽のガンマン

66年The Good, the Bad and the Ugly
監督:セルジオ・レオーネ/出演:クリント・イーストウッドリー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォーラック

『続・荒野の用心棒』

66年DJANGO
イタリア・スペイン合作/監督:セルジオ・コルブッチ/音楽:ルイス・エンリケス・バカロフ  
出演:フランコ・ネロ