ジェイミー!

tofu22004-11-10



RAY/レイ*1
2004年/162分/監督:テイラー・ハックフォード/出演:ジェイミー・フォックス


「裸のシェフ、ジェイミー・オリヴァー*2」じゃないのよ。マイケル・マン監督、トム・クルーズ主演の『コラテラル』でタクシードライバーを演じた彼ですよ。ジェイミー・フォックスね。彼はこの作品でオスカー取るんじゃないかと言われてますよ。どうみてもレイ・チャールズにしか見えないものね。


物語は、R&Bとブルースとゴスペルとポップスとロックとカントリーのジャンルを越えた音楽を生み出したミュージシャン、レイ・チャーズ*3の伝記もの。R&Bが好きな人が観たら、とても充実した内容なんじゃないだろうか。私はあまり詳しくないから、音楽的バックグラウンドの部分はよく分からないけど、クインシー・ジョーンズとの絡みもおもしろく描かれていて、とても楽しい。何より、白人社会の中で自分の(黒人としての)アイデンティティを相手に認めさせながらビジネスとして成功し、偉大なミュージシャンとなっていく様は、純粋に感動したし感銘を受けたですよ。特にレイ・チャールズは黒人で盲目という2重のハンデがあるのに。


それに、レイ・チャールズのダークサイドをそのまんま正直に描いているから、音楽のことを知らない人でもドラマとして迫力ある映画になっている。盲目になった理由はホントかな?ってくらいにちょっとドラマチックだけど、その理由がトラウマとなって、不気味な幻想が突然襲ってくる様子は、たぶん、そのまんまの意味じゃなくて、黒人が白人社会で生き抜く苛酷さとか、健常者の中で迫害される不条理さとかの代弁にもなっているように見えたりするし。


あと、目が見えないのに女性をみる目が確かだったとかいうエピソードがあって、ちょっとおもしろい。手首を触ると美人が分かるんだとさ。盲目っぽい態度をするのは女性の前だけだったというウワサがあるらしいから、レイさんってば、ヤンチャな人ですね。


それにしても、音楽の天才たちが集まると、才能と才能が会話している状態になるので、仕事の話しが早い早い。ひとつの音を出せば、そのミュージシャンの実力が即座に分かるし、そいつと即興でジャムれば、瞬時に名曲が生まれるし、プライベートで恋愛沙汰がゴチャゴチャしても、その状態を歌でガッツリと表現して、相手をやっつけたりしちゃう。すごいな。


音楽モノ映画で、才能と才能が会話している感じのシーンがあったのが、アメリカの女性シンガーソングライターのキャロル・キング*4の半生をモデルにした映画『グレイス・オブ・マイ・ハート*5』。これもおもしろいんだ。ブライアン・ウィルソン風なキャラも出てきたりして。それを演じるのがマット・ディロン…だったような…。


それとついでに、ジェイミー・フォックスは『コラテラル』の監督マイケル・マンには気に入られているみたいで、新作にも出演するらしい。その映画はマン自身がプロデューサーとして参加していたテレビシリーズ「マイアミ・バイス*6」の映画版。マンが監督・脚本担当する模様。コリン・ファレルとともに出演するらしい。ドン・ジョンソンが演じたソニー役がコリン・ファレルで、相棒のフィリップ・マイケル・トーマス演じるリコ役がジェイミー・フォックスかな?「マイアミ、青い海、輝く太陽、そして犯罪の街…」だっけ?オープニングのナレーションが印象的だったし、おもしろかったよなあ。これも楽しみ、観たいぞ!