仏映画ベスト5

tofu22005-01-06


なんとなく、2004年のフランス映画ベスト5なんぞを。フランス映画好きの私としては、若い世代の監督(30代あたり)の作品が日本で公開されていなかったなあと、イマイチな感じだったけど、そんな中でも、素晴らしい映画もあったわけで、っつうことで、フランス映画ベスト5です。番外編として海外で観たフランス映画ベスト3も。

  • 『ぼくセザール 10歳半 1m39cm(Moi, Cesar, 10 ans et demie, 1m39)』(監督:リシャール・ベリ/出演:ジュール・シュトリュック)

憂い漂うダラしゃべりの恋愛模様とかにこだわらないフランス映画の中では、本当によかった映画。お子ちゃまたちのプチ冒険という形を取っているから、ストーリー展開のテンポがよい。でも実は、大人の事情は結構身勝手なんだよな、っていう子供目線が軽快だからこそ、社会への批判がより辛辣だったりするのも好き。

これも素晴らしかった。感想はこちらにて*1

  • 『いつか会える(A tout de suite)』(監督:ブノワ・ジャコ/出演:イジルド・ル・ベスコ)

裕福な女の子が犯罪者のハンサムさんに一目惚れして、彼を信じて異国へ逃避行し、彼が迎えに来るのを待ち続け…。コスチューム劇が多いブノワ・ジャコ監督だけど、今回はモノクロのデジタルで撮影して35ミリにい変換しているらしい。その映像の瑞々しさといったら、素晴らしいです。そしてイジルド・ベスコの存在感が秀逸です。

  • 『スターは俺だ!(Podium)』(監督:ヤン・モワクス/出演:ブノワ・ポールヴールド)

コメディであり、歌ものであり、ファミリーものでありと、普通におもしろいっす。「コム・ダビチュードマイ・ウェイ)」の作曲家であり超人気歌手、クロード・フランソワへの執拗なまでの同一願望が炸裂しまくりの、妄想癖が激しいオジさんの話。60年代のサイケデリック風味を巧みに絡めた映像が、コミカルであり、哀愁感ありと、なかなかの秀作だと思う。写真左は、なりきりクロード・フランソワさんの付き人になりきっている、なりきりミシェル・ポルナレフさん(もちろん普通のボンクラ)。

  • 『彼女の人生の役割(Le Role de sa vie)』(監督:フランソワ・ファヴラール/出演:アニエス・ジャウィ、カリン・ヴィアール)

映画スターに憧れる、しがない女性編集者の話。こういうフランス映画が、実はとってもおもしろいと思うんだけど、日本ではもちろん公開予定なし。普通に働く普通の女性が、自分に自信がないものだから、スターに憧れちゃって、それじゃイカンなと、ちょっと前向きになる話。まあ、チマチマした話ではあるけど、心情の微妙な振り幅加減を、映画として見せることができるのは、フランス映画のよい部分だと思ってるんだけどね。それがおもしろいのが、30代くらいの監督だったりするので、もっとその辺りの作品を観る機会が増えるといいなと、常々思っているんだけど。その少ない機会として、明日から始まるカイエ週間は毎年楽しみだったりしますよ。



【海外で観たフランス映画部門】

  • 『confidences trop intimes*2』(「親密するぎ打ち明け話」としてワイズポリシーから日本配給予定)

ベルリン映画祭にて。パトリス・ルコント監督作品で、サンドリーヌ・ボネールとファブリス・ルキール主演。会計士の男の事務所に、精神科と間違えて来た女性が現れて、いろいろな相談を話し出す女性に男はなんとなく心惹かれ始めるロマンティック・サスペンス。ルコント作品の中でも、かなりおもしろい作品だと思う。日本では考えられないと思うけど、会場は大爆笑の渦だったんだよね。ファブリス・ルキールの顔がアップになるたびに。「え?オレ、会計士だけど」「え?オレ、そんな約束されても、会計士だし」「え?オレ、そんな告白されても、会計士だよ」みたいな、すっとぼけた顔が、スクリーンに映し出される度に、爆笑の嵐。確かにおもしろい顔だったです。

  • 『Le cout de la vie*3』公式*4

モントリオールの普通の映画館で。Philippe le guay監督、ヴァンサン・ランドン、イジルド・ル・ベスコ、そして、ファブリス・ルキール出演。ここでもファブリス・ルキールは会計士役。何でもかんでも金に換算するヘボくてコソいキャラです。神経質さをコミカルに見せる演技はピカイチですね。イジルド・ル・ベスコは、裕福ゆえのすれっからしキャラがお似合いです。最後は、なかなか良い終わり方するんですよ。何げに秀作。

  • 『roi et reine*5

トロント映画祭にて。アルノー・デプレシャンの現代劇。常連俳優マチュー・アマルリックとエマニュエル・デュヴォス出演。スケジュールが合わず15分しか観れなかったけどコミカルでおもしろそうだったです。カトリーヌ・ドヌーヴも出ているし、デプレシャン作品だから日本公開されることを祈ろう!