謎の未掲載記事BB編2

tofu22005-02-27


■タイトル:「ディープな夜カフェ・東京編」

■リード:人との距離感が心地よい、大人ならではの夜カフェ。音楽、インテリア、ブックスなど、こだわりのある夜カフェをご紹介します。(取材・文/伊藤よしこ)

★「カフェ・アプレミディ」
「カフェ・アプレミディ」は、いつでも友人宅に来たような温かい空間に出会えるカフェです。渋谷の公園通りを登り切るちょっと手前のビルに入り、エレベータで5階に行く。「エレベータを降りて左」なんていうタイトルのフランス映画がありましたが、その言葉通りに一歩踏み進んでみると、ほどよい日差しとライティングが心地が良い空間が現れます。「自分の部屋の延長なんですよ」と語るのは、カフェのオープンにも参画した店長の中村智昭さん。音楽が大好きな中村さんは、学生の時からクラブでDJをしていて、その時に知り合った編集者であり「FREE SOUL」などの人気コンピレーションアルバムのコンパイラーでもあり、「カフェ・アプレミディ」オーナーの橋本徹氏と意気投合。クラブ帰りに橋本氏や知人たちを自宅に呼び、好きなレコードやCDを聴いていたそうです。そんな楽しい空間を具現化したのが「カフェ・アプレミディ」なのです。


「昼夜問わず、好きな音楽に囲まれて、気の置けない仲間たちとコーヒーやアルコールを楽しめる。そんな空間があったらいいなと思ったんです」。その言葉通り「カフェ・アプレミディ」には、いつも素敵な音楽が流れています。中村さんがカフェの空間を心地よくするために、時間や雰囲気に合わせて音楽をセレクトしています。インテリアも親しみのある温かみのあるものばかり。チェック柄のファブリックでさりげなく覆われたそのソファや木目のカフェチェア、ほどよく使いこなれたライトテーブルなどが心地よく配置されています。照明もフロアランプをメインにしているので、窓から射し込む日差しと交差して、ついつい長居したくなります。


気になるメニューですが、ボリュームある食事が楽しめます。特に鶏とキノコの特製まろやかカレー(1150円)や、ホワイトハムとモッツァレラチーズ入りホットサンド(950円)などがおすすめ。ランチタイムはオープン時間の12:00から15:00(14:00L.O.)。お食事、ドリンクともにメニュー内容は終日オーダーできますが、ランチにはドリンクとミニサラダが付いています。またランチにはディスカウントチケットもあるので、お得です。もちろんアルコール類もランチタイムからオーダー可能。仲間と一緒に、一人でゆったり、昼でも夜でも気兼しなく、心地よい音楽とおいしい食事が恋しくなったら、ふらりと立ち寄りたくなる、そんなカフェです。例えるならブラジルでボサノヴァが生まれた60年代にあった、ナラ・レオンのサロンのような空間。そんな大人空間が楽しめます。


<おすすめCD>
CHET BAKER FOR APRES-MIDI」「JET STREAM - WINTER FLIGHT」「BLUE NOTE for apres midi Grand Cru」


<データ>
【住所】東京都渋谷区神南1-15-7 5F
【Tel】03-5428-0510
【営業時間】12:00〜midnight
【ランチタイム】12:00〜15:00
【年中無休】
http://www.apres-midi.biz/


★「東京アパートメントカフェ」
 神宮前駅を降りてすぐ。大きなウィンドウが目印の「東京アパートメントカフェ」は、老舗ステーキハウス「スエヒロ」が経営するカフェです。コンセプトはニューヨークのロフト空間。知人の部屋に仲間が集まり、ワイワイ過ごす、そんな雰囲気を楽しめます。だからメニューリストもとてもユニーク。アメリカのタブロイド誌を模していて、部屋でくつろぎながら新聞を何気なく読んでいるような気持ちでメニューを選べます。インテリアにも統一感があります。


アメリカの雑誌「LIFE」誌を彷彿とさせるミッドセンチュリーのソファやイスが広い空間に贅沢に配置されていて、個性的でありつつもでしゃばらない心配りが伺えます。スタッフのみなさんもユニフォームはなく、私服で対応してくれて、音楽も自宅で楽しんでいるように自由にセレクトしているのだそうです。気になるメニューは、驚くほどにおいしくてとにかくお安い。人気メニューの揚げピザは600円。ランチも税込み800円からと驚きのお値段です。「この場所は日本初のアパートメントができた場所。アパートに住んでいる人のように日常的に気軽に利用できる空間として利用していただきたいのです」と取締社長の干田さんが語ってくれました。都会の真ん中原宿で、自分空間が楽しめる、そんなカフェです。


<インテリア・キーワード>
「ニューヨークのロフト」「アメリカン・ミッドセンチュリー」「日常空間」


<データ>
【住所】東京都渋谷区神宮1-11-11 グリーンファンタジア 1F
【Tel】03-3401-4101
【営業時間】(日)〜(木)11:00〜25:00(L.O.24:00)
      (金)(土)(祝前日)11:00〜26:00(L.O.25:00)
【ランチタイム】11:00〜15:00
【年中無休】
http://www.harajuku-ac.com.


★「ライブラリーラウンジ テーゼ」
西麻布交差点から一本入った裏通り。思いの外閑静な住宅が並ぶこの道を少し歩くと「ライブラリーラウンジ テーゼ」があります。入った途端に薄暗い部屋。それもそのはず。コンセプトは「夜の図書館」。お酒を読みながら本が読めるバー。ありそうでなかった贅沢な場所です。「本からいろいろな興味が広がって、そこから人との繋がりも広がっていく楽しさがあると思いますよ」と語るのは広報担当の中村さん。間接照明がほんのりと灯る部屋をよく見回すと壁にはたくさんの本棚があり、トラベル、ファッション、映画、文学、人文、マンガなど幅広いジャンルの本や雑誌が詰まっています。


書籍から新しい出会いや発見に繋がってくれれば、との思いで幅広いジャンルからセレクトしているのだそうです。特におすすめなのは、ニューヨークのエディター集団が各界のクリエイター達とコラボレーションして編集している雑誌「Visionaire」。創刊近くのものから最新のものまで取り扱っているのは圧巻です。本とお酒を満喫できるバーとして、仲間とまったり過ごすだけでなく、アルコールと共に一人で本を読みながら夜を過ごす人もいらっしゃるのだとか。インテリアは19世紀のイギリスのアンティークにこだわっているとのこと。建築家・角章氏とオーナーの久保寺氏の好みを思う存分反映しているのだそうです。カフェ自慢のおいしいカレーもおすすめ。20年代のパリに起こったカフェ文化に浸る気分が味わえます。J-WAVEでお馴染みのロバート・ハリス氏もよく利用されているそうですよ。とってもユニークで、それでいて落ち着く大人のカフェです。


<おすすめ雑誌・書籍>
「Visionaire」「人生の100のリスト/ロバート・ハリス著/講談社刊」


<データ>
【住所】東京都港区西麻布2-13-19 2F
【Tel】03-5466-7331
【営業時間】12:00〜17:00
      19:00〜28:00
      (日)17:00〜26:00
【ランチタイム】12:00〜14:00
【ランチタイム】00:00〜00:00
【年中無休】
http://www.these-jp.com/


★「冬に読みたいカフェ書籍」1冊
・「カフェ・ド・フロールの黄金時代/よみがえるパリの一世紀」(中央公論社 \1600)
「ドゥマゴ」と並ぶサンジェルマンの伝説のカフェの年代記。現存するパリ最古の教会サンジェルマン・デ・プレ教会の向かいにあります。サルトルは、打ち合わせの際はフロールを、プライベートではドゥマゴ、と決めていたとか。経営者ブバル氏の孫である著者によれば「<自分をカフェのギャルソンと思っているカフェのギャルソン>という有名な証明のアイディアをサルトルに提供したのは、フロールのギャルソンだということくらいは、私たちでも知っている」とのこと。そして女優シモーヌ・シニョレもよく利用していたとのことで、「今日ある私というのは、1941年3月のある晩、パリ6区サンジェルマン大通り、カフェ・ド・フロールにて生まれた人間なのです」なんて素敵な言葉を残しています。当時のカフェ文化を思う存分堪能できる書籍です。


★「冬に聴きたい!おすすめ着ウタ・サントラ編」
Catia カフェ・アプリ・プレゼンツ「Saudade de paris」(サウダージ・ドゥ・パリ)
『カフェ・アプレミディ』や『フリー・ソウル』シリーズなど人気コンピレーションCDのコンパイラーである橋本徹氏がプロデュースするフレンチ・ブラジリアン『カチア』デビュー・アルバム。本格的なボサノヴァのリズムとパリ在住のブラジリアン・ジャズ・シンガー、カチアの伸びやかな声が心地よいアルバムです。ジャジーでありながらブラジルの陽光を感じるサウンドは、冬の夜に温かさを感じさせてくれます。