「新世代フレンチ・セレブの恋愛観」

tofu22004-07-09



「恋愛をするには、お互いを愛し合うことが必要。そして、夢中になりつつも寛容になるということもね」
(クロチルド・クロー『キスはご自由に』『僕のアイドル』)


女らしさと芯の強さを感じさせるクロチルド・クロー。『僕のアイドル』では、仕事に夢中で振り向いてくれない彼に三行半を下す勇気ある堅実な女性を演じ、『キスはおご自由に』では、幼い子どもがいながら、自分の恋愛にのめり込む身勝手な女性を演じている。先日イタリア王室のフィリベルト王子と結婚したクロチルド・クローに恋愛について聞いた。
 


■伊藤:『僕のアイドル』『キスはおご自由に』の、それぞれのテーマについてどのようにお考えですか?

■クロチルド:2本とも全く違うテーマです。『キスはおご自由に』は、カップルの難しさ、結婚の難しさが見えてくるわ。『僕のアイドル』は、有名になって、お金と綺麗な女性を手に入れる。テーマは違うけれども、2本とも今のフランス社会の問題を描いていると思う。そして、この2本で私が演じた女性も全く違うタイプね。『キスはおご自由に』は、全てを受け入れる準備ができている女性、『僕のアイドル』は、辛くても拒絶する、断ることができる女性ね。


■伊藤:フランス映画には、人間を愛するという意味も含めて、恋愛をテーマにしたものが多いと思うのですが、それについてどのようにお考えでしょうか?

■クロチルド:国によって違いはあると思うけど、フランスに於いては、愛はやはり大きなテーマね。中世くらいから文化として描かれてきているクラシックなテーマだわ。特に18世紀は恋愛をテーマにした小説が盛んに発表されている。日本でそのようなテーマを多く扱われているってことは、フランスを象徴するテーマとして、愛というものは大きいのね。フランスだけでなく世界的にも大きなテーマだわ。


■伊藤:『キスはおご自由に』では、恋をするために出会いやそれを発展させるために積極的に行動しています。ご自身は、どのように出会いや恋をしていますか? また、日本の女性にアドバイスは?

■クロチルド:恋愛をするためには、お互いを愛し合うことが必要だと思うわ。瞬間的に恋愛をしても、長い目で見れば、お互いを尊敬し尊重しあうことが最低限必要だと思う。だから外見的なものではなくて、内側から出てくる魅力が大切ね。特に恋愛というのは、男性よりも女性の方が難しい。というのは、女性は恋をすると、とても夢中になって周りが見えなくなってしまうことがありがちだもの。夢中になりつつも寛容になることね(笑)。


 


【クロチルド・クロー】
<profile>
ジャック・ドワイヨンの『ピストルと少年』で女優デビュー。『EXITイグジット』『赤ずきんの森』『甘い嘘』などで清楚さと官能さを備えた演技を見せる実力派。今回は、ロスで打ち合わせをしたその足で来日したという。ハリウッド進出も楽しみな女優。


■作品データ■
『僕のアイドル』Mon idole
2002年/112分(フランス公開:02年12月17日)
監督・出演:ギョ−ム・カネ(『ヴィドック』)
脚本・出演:フィリップ・ルフェーヴル
出演:クロチルド・クロー、フランソワ・ベルレアン(『無伴奏シャコンヌ」』)、ディアーヌ・クルジェ、ジャン・ロシュフォール

<イントロダクション>
ザ・ビーチ』『ヴィドック』の若手俳優ギョーム・カネの長編初監督作。セザール賞にもノミネートされた本作は、アニメショーンや70年代の音楽を巧みに活かした、コミカルでシニカルな野心作。ギョーム・カネのパートナーであるディアーヌ・クルジェは、ブラッド・ピット主演の『トロイ』に出演予定。

<作品紹介>
TV局に勤めるバスチアン(ギョ−ム・カネ)は、自分の番組をもつことを夢見る新米プロデューサー。ある日、尊敬しているベテラン・プロデューサーのブルスタル(フランソワ・ベルレアン)から、週末を別荘で過ごそうと誘われる。野心を胸に同行したバスチアンだったが、そこで意外な体験する。仕事、名誉、美しい妻(ディアーヌ・クルジェ)と全てを手に入れた彼らの趣味は、バスチアンを困惑させて遊ぶゲームだった…。


『キスはおご自由に』Embrassez qui vous voudrez
2001年/103分(フランス公開:02年10月9日)
2003年セザール賞最優秀助演女優賞カリン・ヴィアール
監督・出演:ミシェル・ブラン(『他人のそら似』)
出演:シャーロット・ランプリング(『まぼろし』)、ジャック・デュトロン、カリン・ヴィアール、ドゥニ・ポダリデス、クロチルド・クロー、ヴァンサン・エルバス、ルー・ドワイヨン、サミ・ブアジラ

<イントロダクション>
シャーロット・ランプリングキャロル・ブーケ、ルー・ドワイヨンほかの豪華キャストで見せる群像劇。『他人のそら似』などで活躍するベテラン俳優ミシェル・ブランの監督する4作目。

<作品紹介>
実業家のベルトラン(ジャック・デュトロン)と妻エリザベス(シャーロット・ランプリング)は裕福なカップル。隣りに住むジェローム(ドゥニ・ポダリデス)とヴェロニク(カリン・ヴィアール)夫妻は失業中で、彼らの行動がいちいち気にさわる。友人のジェリー(クロチルド・クロー)は、幼い子どもがいながら自分の恋に夢中。彼らは偶然にも同じバカンス地で遭遇。そこで、愛人やら上司やらが入り乱れ、夫婦の気持ちのすれ違いや、ふと沸き起こる寂しさに気づき始まる。本当の愛とは何なのかをそれぞれが感じ始めようとしていた…。