「新世代フレンチ・セレブの恋愛観」

tofu22004-07-12


「愛は、喜びを分かち合うため、幸せになるためにあるもの。恋愛をするために苦しんでいるようなら続ける必要はないわ」(ソフィー・カントン『誰がバンビを殺したの?』主演)



とても可愛らしい女の子だ。作品タイトル『誰がバンビを殺したの?』は彼女からヒントを得たと思えるほど、子鹿のようなクリクリとした瞳が印象的だ。長編作品に初主演した本作で、病院で看護婦の研修中のイザベルを演じたソフィー・カントンに恋愛について聞いた。



■伊藤:心理的に迫ってくるサスペンスでした。撮影中のエピソードは?

■ソフィー:撮影中に不思議な体験をしたの。最後のシーンで交通事故に遭って、医師の顔がくずれていたでしょ? もちろん特撮なんだけど、それを見たとき恐ろしくなってしまって。俳優自身も気分が悪くなってしまったの。いかに外見が人の心を左右するのかってことを、深く考えさせられたわ。


■伊藤:イザベルはフィリップにどのような感情を持っていたと思われますか? 異性への憧れ、職場の上司としての尊敬、さらに事件に関与しているのではと疑いを持つ。物語が進行するにつれて、この3つの感情に変化していきますね。

■ソフィー:イザベルがフィリップに抱いている感情は、憧れであり恋心。でも、彼には少しミステリアスな部分がある。彼が何かを隠しているのではないかと思い、もっと彼のことを知りたくなる。それが恋だと思うわ。この映画では、それがサスペンス的な展開になっていく。彼女は彼のミステリアスな部分を見つけたいがために、どんどん彼に近づいていくのね。


■伊藤:『誰がバンビを殺したの?』のテーマは?

■ソフィー:この映画のテーマは、二つあると思う。自分に対して自制心を持ち続けること。そして、相手の思うがままなって自分を失ってしまうこと。一生懸命に自分をコントロールしようとしているのがイザベルであり、他人に身を委ねてしまうのが、ベットで寝ている患者たちね。
自分を強く見せようとすると、それが弱さとなってしまうことがあるでしょ。だからイザベルは、自分をコントロールしようとしているにもかかわらず、意志に反してフィリップの思うがままになってしまうの。そして、ベットで寝ている患者たちは、完全に自分の弱さを見せてしまっている。自分を全く失っている。どちらにせよ、プラスの部分とマイナスの部分があるわ。


■伊藤:自分の強さと弱さをコントロールすることに悩んでいる友人がいたら、どんなアドバイスをされますか?

■ソフィー:恋愛についてのアドバイスだったら、うまくできないかも。だって、カップルによって、恋愛の仕方、見方は違うものだから。
ただ言えることは、お互いが苦しむような恋愛は続ける意味がないと思う。愛って、苦しむためにあるものじゃないわ。喜びを分かち合うため、幸せになるためにあるもの。もちろん、幸せなときばかりじゃないけど、恋愛をするために苦しんでいるようなら続ける必要はないわ。精神的にお互いを傷つけ合ってもしかたないじゃない。

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【ソフィー・カントン】
<profile>
“子鹿のような目で観客のを釘付けにする”とカンヌで絶賛された新人女優。2001年、クレルモン・フェラン短編映画祭で女優賞を受賞した実力の持ち主。


■作品データ■
『誰がバンビを殺したの?』Qui a tu Bambi?
2002年/125分(フランス公開:03年6月25日)
2003年カンヌ映画祭特別招待作
監督:ジル・マルシャン(『ハリー、見知らぬ友人』脚本)
出演:ソフィー・カントン、ローラン・リュカ(『ハリー、見知らぬ友人』)、カトリーヌ・ジャコブ


<イントロダクション>
『ハリー、見知らぬ友人』で脚本を手がけた屈指のストーリーテラー、ジル・マルシャンの初監督作品。静かに進行するクールなサスペンスである本作は、2003年カンヌ映画祭で特別招待作品された。


<作品紹介>
看護婦の研修生イザベル(ソフィー・カントン)は、人望ある腕のいい外科医フィリップ(ローラン・リュカ)に魅力を感じ始める。しかし、患者失踪事件を機に、彼の不審な行動に疑問を持ち始め、事件に巻き込まれていく。