「ザ・ダットサンズ」インタビュー
ニュージーランド出身のガレージ・ロックバンド、ザ・ダットサンズ。02年にデビューアルバム「ザ・ダットサンズ」をリリースし、ヴィンテージ・ロックを彷彿とさせるサウンドで、日本のロックファンを魅了した彼らが、待望のセカンドアルバム「Outta Sight Outta Mind」を5月26日にリリースした。プロデューサーにジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)を迎えた本作は、よりスケールアップしたサウンドが炸裂するライブ感たっぷりの脳天直撃の必殺ロックンロールだ。そんなザ・ダットサンズは、ロックをこよなく愛する4人組。ドルフ・デ・ダットサン(B,Vo)、マット・ダットサン(Ds)、クリスチャン・ダットサン(G)、フィル・ダットサン(G)。みんな同じダットサン。冗談なのか本気なのか判別不能な熱きロック魂が爆裂するライブ・パフォーマンスが話題の彼ら。天然なのか天才なのか。あまりにもオリジナルすぎる微妙なこだわりが熱くて微笑ましいロックンロールなインタビューをどうぞ。
■伊藤:最初ということで、自己紹介をお願いします。自分の長所と短所も教えて下さい。
■ドルフ・ド・ダットサン:ベースのドルフです。短所は、目立たない楽器を担当していること。長所は、ヴォーカルだから、実は一番目立てるポジションにいること(笑)。性格は、ステージでは派手なパフォーマンスで暴れまくっているけど、普段はいつも周りを気にしてばかりいるようなヤツなんだよ(笑)。
■クリスチャン・ダットサン:ギターのクリスチャンです。長所はギターを弾けること(笑)。だからバンドをやってるわけ。短所は、背が低いこと。ライブを見に行っても、背が低いからさ、目の前に背の高い人がいるとステージが見えないんだ。あとは、痩せてること。自分にあった洋服のサイズがなかなか見つからないんだ。
■ドルフ・ダットサン:でも細いことって、長所でもあるんじゃないの? ひょっとしたらスーツケースに入っちゃうかもしれないよ。そうしたら飛行機代が一人分浮くよ。アハハ。
■マット・ダットサン:マットです。モノを叩いて仕事になっていることが長所です。そのおかげで世界中を旅できて、日本にも来れて、いろんな素敵な人に出会えることって、いいことだなと思ってるよ。短所は、軽めのアルコール依存症(笑)。
■フィル・ダットサン:ギターのフィルです。僕の短所は、こういう質問にどうやって答えたらいいのか、分からないことかな…。でも、長所は、こういう質問を他の人に任せられることかな。
■伊藤:2ndアルバムを聴かせてもらいました。音を聴いて、ライブがカッコイイんだろうな、と思わせてくれます。レコーディングとライブ・アクトの違いって?
■クリスチャン:ライブの方が目の前にいるオーディエンスのエネルギーを受けてできるからね。その瞬間、瞬間の緊張感、楽しさ、興奮があるね。ライブってのは、途中でやり直しとかができないけど、そのだからこそ緊張感があって高揚感があるんだ。スタジオは、事前にどんな形でやるかを、キッチリと計画立ててやるからね。もし間違えたら、やり直しができる。ライブとスタジオは全く違うものなんだ。
■ドルフ:僕らの音楽は、やっぱりライブでこそ一番楽しんでもらえるものだと思うよ。ライブは、僕たちとオーディエンスだけしかいない。僕らの間には誰もいないんだ。CDを媒体として僕らの音楽を伝えることもあるけど、やっぱりライブは直接に伝えることができるからね。その違いは、とても感じるよ。
■伊藤:初めて衝撃を受けたライブは?
■ドルフ:地元のバンドが多いかな。確かにソニック・ユースやフー・ファイターズを見て、すごいなと思ったけど。でも、地元のパンクバンドやロックバンド、ポップバンドでも、ライブってすごいことができるんだなって思えるものが多いよ。海外の大物アーティストじゃなくても充分にカッコいいライブをやっているバンドって、地元にはたくさんいるんだよ。僕らも彼らから触発されたことをすごく覚えているよ。
■マット:ニュージーランドのバンドかな。ノッシング・アット・オールとかジー・ヘッドとかを見て、すごいなって思ったよ。
■伊藤:ご自身のレーベル「Hellsquad」がありますよね。新しい才能を紹介するようなことは?
■ドルフ:元々は、自分たちの音楽を知ってもらいたいってことで始めたレーベルなんだ。そこから大手レコード会社と配給契約をしてリリースしているんだけど、今は他のバンドも紹介していっているんだ。オーストラリアの「カサノバ」ってバンドとか、ニュージーランドの「トラック」とか「ジェイコブズ」とか。彼らのシングルを出しているんだ。これからも、こういうことはもっとやっていきたいと思っているよ。
■伊藤:オフの時は、どんなことしてますか? 最近ハマッていることとか。
■マット:釣り!
■クリスチャン:僕は釣りが大嫌い!
■ドルフ&フィル:僕らは、釣り好き! 最後に釣りに行ったのっていつなんだよ?
■クリスチャン:子供の頃。親に無理矢理連れて行かれたんだ。
■ドルフ:もう一度行って見ろよ。きっと気に入るよ。
■クリスチャン:いい思い出がないんだよ。もう二度と行きたくない。
■ドルフ:オフってなかなかないからな。自分の好きなことが出来るってことだけで嬉しい。映画館へ行って、鬼のように何でもいいからたくさん映画を観て、ポップコーンとか甘いものとかばっかりを気持ち悪くなるまで食べて、吐きながら映画を観てるかな(笑)。
■マット:それと、ドライブするのが好きだな。新しい車を買ってね。トランザムとかほしいな。
■伊藤:そういえば、ダットサンズって…。
■ドルフ:その時、カッコいいかなって思ってさ。
■伊藤:みんな同じ名前にしなくちゃいけないんですか?
■全員:ノー!
■ドルフ:ニュージーランドで友達と集まっていた頃、バンドをやってる友達を呼ぶとき、そいつが所属しているバンドの名前をくっつけて呼び合っていたんだ。それが当時、当たり前に仲間同士で流行ってたんだよ。どのバンドの誰ってすぐ分かるだろ? その流れなんだよね(笑)。
■伊藤:今回のアルバムと1stとの違いは?
■クリスチャン:ダットサンズらしいアルバムになってると思うし、ガツッとロックンロールなアルバムだと思う。前作に比べるとサウンド面では力強くなってるし、演奏力もアップしてるはずだよ。作品としては、前作は、今までの楽曲を寄せ集めた感じだったけど、今回は、まとまったものになっている。よりバラエティに富んでメリハリのあるものになってる。僕らが打ち出したアイデアが広がっていった感じのアルバムだよ。
■伊藤:ライブでは女の子もたくさん来てますよね。日本の女の子の印象は?
■ドルフ:ライブは、女の子に来てもらうことが大前提! そうすると野郎たちも来るだろ? それに男の子たちよりも女の子たちの方が話しかけてくれるんだよね。
■マット:カワイイ!
■伊藤:お、日本語。他にはどんな日本語を。
■フィル:「マチガイナイ」!
突然クリスチャンが走り出す!
■マット:「オトコノコハ、ハシッテマス」(笑)!
■ドルフ:ギャハハハッ
■マット:「ワタシノナマエハ、ジーザスデッス」!
■ドルフ:僕は日本語分からないんだよね(笑)。
■クリスチャン:「オタク」!
■伊藤:なんか、知ってる日本語が微妙なのばかりですね…。
■マット:僕は学校で日本語を勉強してたんだよ。選択授業のひとつでね。
■クリスチャン:ちゃんとした日本語も知ってるよ。「コンニチハ」!
■ドルフ:夏・夏・夏・夏ココ〜ナッツ、愛・愛・愛・愛アイランド〜
■伊藤:え?
■ドルフ:去年、ラジオ番組に出演したときに教わった歌なんだ。
■伊藤:歌も微妙ですね…。
■ドルフ:ありがとうございます。夏・夏・夏・夏ココ〜ナッツ!
ロックンロールを演奏する。ただそれだけを追求しているザ・ダットサンズ。自らのレーベルを立ち上げたのも、ライブで世界中を旅することも、彼らにとっては普通のこと。天然か天才か商人か。それは彼らのライブ・パフォーマンスが全てを語るだろう。噂のエビ反り&横歩きのギター・プレイが早く見たい。