美しくて残酷な愛の映画

tofu22004-07-01


本日の試写
■『CODE46*1

世界中の言語が飛び交う近未来。マイケル・ウィンターボトムの描く最新作は、美しくて残酷で本質的な愛の映画だ。私が観た彼の映画『バタフライ・キス』『めぐり遭う大地』だけでも、彼が描く愛は、その感情が大きすぎるがゆえに、図らずも傷つけ合う状態に陥ってしまう映画が多いように思う。そんな中でも『CODE46』は、一番美しい愛の物語だと思う。
浮遊感を誘うエレクトロニカ・ミュージックの中、吹き抜けた高い天井と壁一面に広大さを感じるガラス窓のある空港。近未来の上海を舞台に、調査員のティム・ロビンスと偽造滞在許可書を発行しているサマンサ・モートンが、恋に墜ちる。徹底的に管理された社会には、遺伝子レベルで結婚を規制する「コード46」がある。それでも必然だったかのように、ふたりは愛を交わす。そして無法地帯へ逃げ出す。愛の逃避行は、本人たちの意志以上に、管理システムのコントロール力が強かった。近未来では、「コード46」に違反した行為や相手の記憶を消去することができる。二人が出会った運命の愛、その記憶はどうなるのか。
音楽の素晴らしさも手伝って、叙情的で浮遊感のある愛の映画なんですよ。『アルファヴィル』のようにスタイリッシュで、『華氏451』のようにクールで、『ガタカ』のように美しく切ない映画です。